匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)の取り締まり強化へ全国警察が結集

先日、東京・千代田区で「全国警察本部長会議」が開かれ、警察庁の楠芳伸長官をはじめ、全国各地から警察の幹部約110人が参加しました。この会議では、匿名・流動型犯罪グループ(いわゆる「トクリュウ」)に対する取り締まり強化が主要議題となり、今後の具体的な方針が示されました。

目 次

中核人物の解明と検挙に向けて

楠長官は「トクリュウ」は日本の治安にとって深刻な脅威であると強調し、全国警察が力を合わせて取り組むべき課題であると述べました。「対策の最重要課題は、中核的人物の実態解明と検挙です」と述べ、これら犯罪グループの中心にいる人物への捜査を最優先事項として位置づけました。

また、楠長官は、今年秋を目標に、全国から捜査官を警視庁に集結させる計画を発表しました。都道府県警や部門を超えた連携を図り、トクリュウに関する情報の収集・分析を徹底することで、一層効果的な取り締まりを行う方針です。

被害の深刻化と対処の喫緊性

警察庁によれば、トクリュウが関与しているとされる特殊詐欺、SNS型投資詐欺、ロマンス詐欺といった犯罪は、被害額が急増しており、全国に広がる重大な問題となっています。これらの犯罪の中核的人物を特定し、取り締まりを強化することが急務となっています。

実際、被害者は高齢者をはじめとする社会的弱者が多く、詐欺の手口も年々巧妙化しているため、従来の捜査手法では限界があるとの指摘もあります。このため、最新技術や高度な情報解析を駆使し、犯罪グループの活動実態を浮き彫りにすることが求められています。

参院選に向けた厳重な警備体制

さらに楠長官は、今年夏に予定されている参議院議員選挙に際して、「3年前に発生した安倍元総理銃撃事件を教訓に、二度と同様の事態を起こさせない」とし、徹底した警護対策を各警察本部に指示しました。選挙活動や政治家の演説における警備の重要性が再認識される中、安全確保への取り組みがより厳重になる見通しです。

凶悪かつ巧妙

トクリュウはルフィー事件を筆頭に凶悪かつ巧妙になってきております。トクリュウのような匿名型犯罪集団は、近年のデジタル化社会の進展に伴い、その活動がますます国際的かつ巧妙化しています。特殊詐欺による被害額が増加している現状を放置すれば、国民の生活基盤のみならず、社会秩序そのものが脅かされる危険性も高まります。

トクリュウに関する警察庁の統計

2025年4月に公表された警察庁の統計によると、2024年の1年間に摘発された人数は全国で合計1万105人に上りました。その内訳として、犯罪の実行役を集める「リクルーター」や指揮をする指示役は1011人、一方で末端の実行役は9094人であり、末端の実行役がほぼ使い捨てのように扱われている実態が見られます。

犯罪の種類別では、銀行口座の譲渡など犯罪収益移転防止法違反で摘発されたのが3293人、詐欺による摘発が2655人、窃盗が991人、薬物事犯(麻薬取締法違反など)が917人となっています。このデータは、実行役不足を補うためのリクルーター活動が活発化している状況や犯罪の多様化を示しており、組織犯罪の深刻な現状が浮き彫りになっています。

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