メキシコ中部のグアナフアト州で、麻薬組織(カルテル)同士の縄張り争いが激化しています。その影響で、先週、廃屋から発見されたバラバラ遺体が、32人分のものだと判明したと、同州検察が4日に発表いたしました。
目 次
グアナフアト州の廃屋で発見された32人分の遺体
これらの遺体は、イラプアト市で行方不明者の捜索中に発見されたものです。
グアナフアト州検察は8月4日に、この場所で見つかった遺体が32人分のものであると発表しました。遺体はプラスチック袋に詰められた状態で発見され、「バラバラにされて入り交じっていた」ため、身元確認作業が難航しています。現在までに32人中15人の身元が確認されたものの、全体の解明にはさらなる時間を要する見通しです。
行方不明者の家族が現場へ
「アスタ・エンコントラルテ(あなたを見つけるまで)」という団体に所属する行方不明者の家族たちは、愛する人の捜索のため現場を訪れました。安全上の理由で匿名を希望した女性はこう語ります。
「愛する人を見つけられることを願っています。何年も経ちましたが私たちはまだ何も知りません。こうした集団墓地が見つかるたびに足を運ばざるを得ないのです」。悲しみと期待を持ちながら活動する家族たちの姿が、この事件の残酷さを浮き彫りにしています。
カルテル同士の苛烈な報復合戦
グアナフアト州はその工業の発展や観光地としての魅力の反面、麻薬カルテル間の抗争が激化し、メキシコ国内で最も多くの死者を出している地域となっています。
とりわけ「サンタ・ロサ・デ・リマ・カルテル」と「ハリスコ新世代カルテル」の縄張り争いが、多くの暴力事件に関与しています。
2024年には州内での殺人認知件数が3,100件を超え、全国の統計の10.5%を占めています。その一方で、国内で行方不明となっている12万人以上のうち、州内だけでも約3,600人が行方不明という悲惨な状況が続いています。
グアナフアト州は写真のようにきれいな街なんですけど、4000人近い人が行方不明とのことでメキシコは恐ろしい国ですね。
メキシコの犯罪件数
麻薬組織(カルテル)が深く関わる犯罪が社会の大きな問題となっています。
カルテル間の縄張り争いや、組織と治安当局との抗争が頻繁に発生し、銃撃戦に発展することも少なくありません。これらの抗争は、観光地や商業施設など、人が多く集まる場所でも起きるため、一般市民が巻き込まれる危険性が非常に高いです。
誘拐や恐喝といった犯罪も、組織犯罪の資金源となっていることが多く、その手口は多様化しています。
殺人件数
- 2015年頃から殺人件数は増加傾向にあり、2019年には年間3万件を超えました。
- 2020年には新型コロナウイルス感染症の影響で一時的に減少しましたが、その後も高い水準を維持しています。
- 殺人事件の約8割が麻薬組織に関連しているとされており、組織間の抗争が治安悪化の最大の要因となっています。
日本の殺人件数は年間900件から1000件ですので、いかにメキシコで殺人が多いかがわかります。
全体的な犯罪件数
- 2015年以降、全体的な犯罪件数も増加傾向にあり、2024年には過去最高を記録した2023年と同様に高い数値を記録しています。
- 殺人以外でも強盗や窃盗、誘拐、強姦などの犯罪が多発しており、日本人を含む外国人観光客も被害に遭うケースが度々報告されています。
これらの情報からメキシコの犯罪率は、組織犯罪の動向に大きく左右されておりまして、高い水準で推移していることがわかります。
メキシコを訪問される際には、外務省の海外安全情報などで最新の治安状況を確認することが重要です。危険とされる地域への立ち入りを避けるなど、十分な注意を払うことが重要です。








